2019年8月17日土曜日

意外に作りのいいMaison(メイソン)のP-90搭載のゴールドトップ・レスポールをゲット

近隣のリサイクルショップを見ていると、何とゴールドトップでGibsonの旧型のシングルコイルピックアップP-90搭載の1956年型レスポールが家具や家電に交じってぽつんと展示されていました。値段は9,800円です。

ヘッドを見るとMaisonとありました。たまにネット通販などで見掛ける初心者向けの中国製ギターです。

何でも激安中華ギターのトップブランド(?)ともいえるPhotogenicと同じ工場で製造されている同じ製品だといわれています。


ピックアップはP-90タイプ

今は2つのバーが並んで相互にノイズを打ち消す構造を持ち、太めのサウンドを産み出すハムバッカーが主流のレスポールですが、初期のレスポールはP-90と呼ばれる、この白いカバーのシングルコイルピックアップを積んでいました。

Amazonとかで検索すると分かりますが、1つ千円以下で買えるパーツが並んでいますので、安いP-90コピーとは思いますが。

もともとシングルコイルピックアップは、以下のようなFenderのギターで使われていましたが、P-90は太いコイルを持ち、軽めの抜けの良い音でありながらFender系のギターより腰のある粘っこいサウンドが出るように思います。


もちろん音色はピックアップだけで決まるものでなく、重いメイプルやマホガニー材を組み合わせたレスポールのボディとも関係があるはずですが。

MaisonのCUSTOMモデルなのか

ネットでMaisonの安いレスポールを探すと、ヘッドにあるロゴは「Maison」だけですが、このギターにはMaisonロゴの下に「CUSTOM Series」という文字が入っています。

実際に国内から海外までネットで調べてみましたが、P-90搭載モデルもCUSTOM Seriesというラインナップも見つかりませんでした。

ごく一部の時期だけに企画されて小ロットだけ製造されたモデルではないかと思います。

ある意味貴重品ではないかと思いました。

Gibsonオリジナルの1956レスポールとの違い

さて実際に、店先にあるギターを試奏させてもらいました。

まず中古品にしては傷がほとんどありません。ヘッドの打痕、ボディ裏のベルトバックルの傷など、大抵の中古ギターで1つや2つはあるものですが、全くありません。

次にオリジナル1956レスポールでは、ボディの裏が赤系の透過色で木目が見えますが、このMaisonは真っ黒で木目は見えません。

裏から見ると、ブラックのレスポールに見えます。

ネック自体はやや太い感じがします。

オリジナルの1956モデルを弾いたことがないのでサイズまで精密にコピーしているのか分かりませんが、やや太めの方がジャズのコードが押さえやすいし、ネックも反りにくいので全然OKです。
もう1つ違うのは、通常のレスポールモデルは、指板の両脇にはバインディングと呼ばれるサイドの縁取り加工がされていますが、このMaisonはボディにはバインディングがあるものの、指板の両脇には何も加工はされていません、

とはいえ安ギターにありがちなネック裏の無塗装とかはなく、ブラックでしっかり塗装もされているので、手触りは問題ありません。

また私がギターを買うときに重視しているフレット両端も、適度に仕上げてあってザラつきやバリによる引っ掛かりもなく、滑らかにフィンガリングできます。

これで1万円未満なら買いでしょう、と思い、お買い上げとなりました。

いちおうぺらぺらのソフトケースが付いていたので、ソフトケースに入れてもらい、担いで家に帰っていきました。

サウンドはP-90の音

さっそく家で小型の練習用アンプにつなぎ、電気音で弾いてみました。

まずはジャズ風にフロントピックアップでトーンを絞って、クリーントーンで弾いてみます。

軽快で、それでいて意外に輪郭のはっきりしたP-90の音が鳴っていました。

もちろん、本家と全く同じではないですが、YouTubeでオールドやリバイバルのP-90搭載レスポールの音と聴き比べてみましたが、価格差30倍とは思えない程度に、けっこう頑張っています。

次にリアピックアップでアンプのオーバードライブをONにしてみます。

これはこれでイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」とかドゥービー・ブラザースとかの昔の西海外ロックのような音がします。

レスポールタイプなので、ちょっと重たいのがつらいですが、真空管アンプにつないだり、エフェクターをかませたり、いろいろいじり倒してみたいと思います。

<2019/8/18追記>


Gibson Les Paul STUDIO 60's tributeと同じなのか?

Facebookに「バインディングがないのと裏地が黒いのは、オリジナルと違う」と写真をアップしていたら、詳しい人から「Gibson Les Paul STUDIO 60's tributeに同じデザインのものがある」と教えてもらいました。

確かにネットやYouTubeで見てみると、廉価モデルのLes Paul STUDIOにはネック脇のバインディングがなく、またボディやネックの裏地もダークバック(Darkback)と呼ばれる仕様で黒く塗られていました。

https://www.youtube.com/watch?v=1WxwFKhIhoo

とはいえ、このMaisonはボディの枠だけはバインディングがなされていて、ここだけはLes Paul STANDARDと同じです。結局、どれでもない独自の構成ではないかと思っています。続報があれば、また追記したいと思います。

2019年2月24日日曜日

激安SGM 2014は作りはシンプルだがGibsonの音だ

Aria Pro II PE-R80、Squireストラトキャスター(昔のフジゲン製と思われる)と2本のソリッドギターを持っていますが、だんだん重たくなってきました。

特にPE-R80は音は最高にいいのですが、固いメイプル材のボディは4kgを超える重さで、立って演奏すると肩が痛くなるほどです。

ということで、軽くて弾きやすいソリッドギターもあれば、と思っていましたが、最近投げ売りされていたGibson SGM 2014というソリッドギターを買ってしまいました。

バーゲン価格5万円、ポイント還元が何と11,000点というキャンペーンのタイミングで買い、実質4万円弱で(エントリーモデルといえ)憧れのGibsonをゲットできたのです。

薄くて軽い

Gibsonのロゴの入った台形のソフトケースから取り出します。

シェイプは、あの伝統のSGです。驚いたのはボディが薄いことと両側のカットで22フレットくらいまでストレスなく運指できる弾きやすさ。なるほど地味ですが、根強いファンがいることが分かります。

ちなみに入門モデルですが、最近のSGらしく何と24フレットまであります。

GibsonはフルスケールのFenderストラトキャスターなどより弦長が短いミドルスケールのギターのため実際は23、24フレットは間隔が狭くてちょっと弾きにくいですが、2オクターブあるのは何気にいいです。

ピックアップはGibsonでは標準的なハムバッカー2本です。humbucker '61 Zebraという白黒のゼブラ(シマウマ)デザインで、61年の初期型SGを目指した音づくりのようです。

いつも気にするネックの両端のフレットの仕上げはちょっと粗いのはエントリーモデルらしいですが、フレットの金属自体が滑らかな仕上げで運指はしやすいです。

1~2万円の中華ギターだと、デコボコで指先が擦り切れそうになりますが、そういう感じではありません。

高級ギターのようなウレタンやラッカーのような表面仕上げはなく、安いギターらしく木の手触りが素朴に楽しめます。

SGのスタイルは好みが分かれるかもしれませんが、薄くて軽いのはもちろん、ボディ両サイドのカットがあり、ハイフレットまで楽に弾けます。演奏性の高さはこれまで弾いた中でもダントツにいいです。

1つ意外なのは、ミディアムスケールの小ぶりなギターなので、ブリッジに右手を乗せて右手で低音弦をミュートしながらピッキングすると、ちょうどピックがフロントピックアップのところに来てしまうので、手の大きい人には少し窮屈に感じるかもしれません。

指板の12フレットのところには、Gibson 120周年記念を表す「120th Anniversary」の文字が入っていました。

Gibsonの検品票が入っており、オクターブOKとかチェックされていましたが、さすがに4年も倉庫に入っていたせいかセッティングは甘くなっており、オクターブや弦高の再調整は必要でした。

ネックは国産ギターに比べて太くて厚いので、素人目ですが特に反ったりはしていないようです。

自動チューナーはウルトラ便利

またヘッドには自動でチューニングしてくれるE-Tuneが付いており、電源ボタンを入れて6弦から1弦までじゃらーんと鳴らすと、モーターがウィーンと回り、弦をチューニングしてくれます。

チューニングが合うと、赤色だったLEDが緑色になります。

チューニングが合わない弦だけ残ってその弦だけLEDが赤色のまま点滅しますが、もう一度、その弦だけ鳴らすと、その弦だけ自動でチューニングされ、全弦音が合うと、そのまま電源が自動オフになります。

付属のACアダプターで充電すれば、80回は使えるようです。だんだんバッテリがーヘタってくるとはいえ、1回の充電で1ヶ月くらいは行けそうです。

クリップチューナー不要で、これはかなり楽チンです。

オープンGとか変則チューニングにも対応していますが、基本使わないのでマニュアルはそれ以上は読んでいません。

音はまぎれもなくGibsonの音

それでは長年使っているFender Sidekick Reverb 15アンプにつないで鳴らしてみます。

最近はジャズギターを練習しているので、まずクリーントーンでフロントピックアップだけで鳴らしてみます。トーンを絞って1くらいにしてみます。


とてもきれいでクセのない、それでいて意外にコシのある音がします。実際の1961年型SGの音は知りませんが、エントリーモデルといえどもさすがGibsonと思わされる音です。

ハードロックに向いていると思われるSGですが、クリーントーンでボサノバのアルペジオやジャズの5度抜きのコードフォームで弾いても、全く違和感ありません。

最近のYouTubeのビデオで日本人ジャズギタリストの大御所・川崎燎先生がSGを弾いていましたが、何となく分かるような気がしました。

https://www.youtube.com/watch?v=037zSpZPJiA

クランチさせる

GAINは9、VOLUMEも9、MASTER VOLUMEは5くらいで鳴らし、リアピックアップで歪ませてみます。

かなり気持ちよくクランチしてきます。ハードロック、ブルースの音です。まさに70年や80年の20世紀のロックで聴ける、Gibsonの音といえます。

当時のロックではストラトキャスターもよく使われているはずですが、シングルコイルのやや線の細い音に比べると、やはりコシのあるGibsonのハムバッカーの音が出ます。

大人し目の小型Fenderトランジスタアンプなのでこんなものでしょうが、Marshallなどの真空管アンプでGAINやボリュームを上げたり、オーバードライブなどのエフェクターをつなげば、もっと気持ちよくドライブしそうです。

特にすごい個性を持ったギターというわけでもないですが、軽くてローポジションからハイポジまで弾きやすい点、オールマイティでバランスが取れている点、クリーンから歪ませまでどんなサウンドメイクにも対応できる点で、万人向けであるし、幅広いジャンルに対応する必要があるスタジオミュージシャンが選びそうなギターだと思っています。

今回の特売で在庫が捌けたのか、もうネット通販を見ても出てこなくなりましたが、本国でも1,000ドルしない普及版モデルとはいえGibson SGという歴史的ギターのエッセンスが手軽に味わえるいいギターだと感じました。