2015年4月4日土曜日

ソリッドなセミアコ・ウクレレへ - Pono TE

先日知人のジャズバンドのセッションに、愛器LANIKAIのテナーウクレレを持参して参加させてもらった。いちおうピックアップ内蔵なので、練習場所の音楽学校のスタジオにあった銘機Roland Jazz Chorus(JC-20)というジャズやフュージョン系ギタリスト御用達のアンプにつないで弾いてみた。


まずは先輩方のバックを演奏するが、そもそも弦が4本しかないので、テンションコードがプレイできない。仕方ないので、たとえばCmaj9だったら、一部の音をオミットしてEm7を弾くとか、開放弦に1弦の5フレット(D音)だけ入れるとかして頑張るが、何だかその牧歌的な音色と相俟って、他の楽器に完全に打ち消されている。

そもそもギターに比べるとコードフォームがあやふやなところもあるので、ちょっとフラットの多いコードやテンションの多いコードが出てくると、ぱっと抑えられず、それもそれで格好悪かった。

やがて俺のソロの順番になり、懸命に親指ピッキングでソロを決めようとするが、音量が小さくて他の楽器に完全に消されてしまう。これでドラムでもいたら、もはや全く聴こえないのではないか。

仕方なくJC-20のボリュームを上げたら、ひーんと大音量でハウリングを起こしてしまった。まあ狭い部屋でしかも中途半端にアンプのスピーカーとウクレレの表板が向き合っていたので、それもあるかもしれないが、これまた弱った。

ということで、まあまだ練習も必要だし、楽器としての限界もあるので、ウクレレジャズはしばし諦めるしかないかと思った。

ところが、ある日、Amazonを「テナー ウクレレ」とかの検索ワードでふらふら見ていると、あの名門Ko'olauブランドの廉価版であるPonoのエレクトリックウクレレが期末セールだか何かで安売りされているのを見つけた。

ハワイ・オアフ島の本社で作られているKo'olauブランドと違い、インドネシア工場製で仕上げのみハワイ製のPonoブランドは、廉価版といっても定価で9万円、売値でも7万円台後半はする。それが5万円未満ということで、どういう理由かは分からないが、こんなチャンスはそうそうあるまい、と思い、また先日のハウリング地獄も思い、ポチってしまった。来月の財政が不安だが、またBOOKOFFに本やDVDを売りまくればよい。


ポチってから2日後、ちょうど午後から内視鏡検査で有給休暇を取っていた日に、Ponoウクレレは意外に大きなダンボールに保護されて、俺の手元にやってきた。保護用の大きなダンボールの中には元のダンボールがあり、しっかりKo'olau/Ponoのロゴが刻まれていた。

中には立派な作りのハードケースがある。ハードケースの脇にもKo'olau/Ponoのロゴが刻まれていた。



3箇所ある留め金を外すと、中からアカシア(コア)の独特の色合いをもったエレクトリックウクレレが収められていた。ご丁寧に弦とフィンガーボードの間にはプチプチの緩衝材が挟まれてあった。

トーンはなく、シンプルな1ボリュームの仕様。ボリュームノブは指板と同じローズウッドを削り出したもの。何だかボリュームノブの軸がズレているのか、回した感じが何だか不安定なのが、何ともウクレレらしくていい。

弦はKo'olauブランドだが、一般的なHigh-Gの構成。俺の他のウクレレはどの弦もクラシックギターの高音弦と同じナイロン弦だが、なぜか一番太い3弦がスチール弦だった。グリッサンドをすると何だかギターのようにざっとスクラッチ音がするのは、何だか慣れるまで変な感じがした。

Pono TEはThin Electricの略で、要するに薄型エレクトリックということらしい。確かにレスポール・ジュニアを思わせるデザインと薄さである。ヘタするとギターより薄く、まな板みたいな感覚だ。

これ以外にも指板が高級材エボニーのもの、トップがスプルース材のものもあるが、まあ細かい音質の違いは分からないので、俺自身はこのモデルで十分だと判断した。


一見するとソリッド型に見えるが、中がくり抜かれていて、セミアコースティック構造とのことである。実際に、アンプにつないでいないときのエレキギターはペキペキ小さい音しかしないが、アンプにつながないときでも意外にいい音で響く。

肝心のサウンドや弾き心地だが、コンデンサーで音質を調整するプリアンプ内蔵で、俺の他のウクレレと違った自然な音色が出ている。とりあえずFender Japanの1Wマイクロアンプにつないだが、オペアンプ駆動の安物アンプでも十分違いが分かるほどの、自然な音色が出た。

ただし1Wアンプで大して音量もないのに、音の出し方で一瞬ハウった。アコースティックウクレレにあるサウンドホールがないので共鳴はしにくいと思うのだが、もしかしてある特定の周波数で共鳴してハウってしまう可能性はある。家で大きな音量は出せないので実験できないが、今度また練習スタジオで試してみようと思う。

弾き心地については、これまで所有したり楽器屋で試奏した10本以上のウクレレの中でダントツに良い。まず薄いのでホールドしやすいのは言うまでもない。またボディやネックの仕上げもよく、手触りもいい。

さらにやや弦高が高いセッティングだが、これはウクレレには多いものでまあ許容範囲だろう。ユニークなのは、フレットが細い上に高いセッティングなので手に吸い付くように押さえやすい。特にセーハで4弦いっぺんに押さえるときは、この高いフレットのお陰であまり力まなくてもスムーズに押さえられて全部の音が詰まらずに鳴る。

これまでFamous FS-5、Ibanez UEW30PDE、Lanikai CK-TEQと所有してきて、どれも良い出来でコストパフォーマンスは良いと思ったが、今後はやはりPono TEがメインになりそうだ。ちなみにウクレレにしては珍しく、トラスロッドがあって、万が一のネック反りにも対応できるのは素晴らしい。

ちなみにMade in JapanのFamous以外は全部インドネシア製で、すっかりインドネシア贔屓になりつつある昨今である。

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