そこで可愛い音音のウクレレ・フレットレスベースでまずは頑張ろうと思った。音質は文句ないしサイズも小さなウクレレベースなので、取り回しはかなり楽。ウッドベースっぽい音質なんか、まるでクラシックなジャズではないか。
ところが音が小さくハウリングに弱い。また、指板の間隔が狭すぎるので、これはこれで運指がしづらい。
ということで、あえなく表舞台から消え去ることになった。すべての楽器がアコースティックな環境、たとえばウクレレやアコギとだけの共演なら、いずれ陽の目を見ることもあるだろう。
そこでうちにある唯一のベース、Bacchus BJB-300で頑張って弾いていた。先日のボサノバ・ミニコンサートもこのベースでやらせていただいた。しかし如何せん巨体で手も大きく、毎日牛肉やジャガイモを食っているような人種向けに作られた楽器で、上背こそそこそこあるが、指も人間の器も小さい俺としては、かなり弾くのに骨が折れるサイズだと痛感していた。
そこで指板上で自在に遊ぶには、ミディアムスケールのエレキベースがいいのではないかと考えた。もともと高校時代に初めて買ったベースがAria ProIIのCSB-380だか420だか忘れたが、小型の、しかもネックが15フレットくらいでジョイントされていて、ハイポジションが絶望的に弾きにくい小型ベースで、そのサイズなら何とかなることは経験していた。
各社のベースもあれこれ調べたが、ここはSGシリーズ、SAシリーズやAWM2音源のエレピを所有するほどのYAMAHA好きの俺としては、YAMAHAのモーションベースMBシリーズがいいかと思って、楽天、Amazon、ヤフオクなどあれこれ巡回していた。いくつかいいモデルはあるが、どれもぴんと来なかった。特に白や黒はあるのだが、他の色は出物が少ないのだ。
ふと天啓が降り、時折訪れる三鷹のHARDOFFに行ってみた。先日俺が売ったと思われる、もともと貰い物のYAMAHAのサイレントギターが売られていた。あとはけっこうなジャンクが増えた印象だ。
その中で、PJ型ピックアップを搭載したブラウンのMB-40が鎮座しているのを発見した。値段は14,000円、税込みで15,000円ちょっと。そこそこ状態のいいMBの相場が2万円前後であることを考えると、悪くない価格だ。
店員に頼んで試奏させてもらう。まず傷がほとんどないのに感心した。俺自身、ときどきボコンとやってしまうのだが、ヘッドの打痕すらない。1オーナーで、しかもほとんどその人物がいじっていないことが連想された。
次に細部の仕上げを見るが、ネック裏の仕上げは表面にツヤ出しの処理などはない。普通の木材を研磨した感じだ。下に印字があり、YAMAHAの設計により台湾で製造したとある。弦高はけっこう高めだが、ネックはほとんど反っていないので、単に設定がまずいか、弦高の高いのが好みの人が使っていたのだろうか。
自分が楽器の仕上げを見るときにチェックするポイント、フレット脇の仕上げだが、これはちょっとYAMAHAとは思えないほど雑。さすがに指先に擦り傷が着くPHOTOGENICとかPLAYTECHの激安ストラトキャスターとかよりはマシだが、第二次大戦で潜水艦のスクリューを作ったり、名車TOYOTA 2000GTの美の巨人に出てもいいレベルのウッドパネルを作った一流メーカーとしては勘弁してもらいたいレベル。
まあ、書かれているように、あくまでYAMAHAはデザインだけで製造は台湾の木工業者であるのだが。
音自体は驚くほどいい訳ではないが、試奏用アンプにつなぐと、ノイズの少ない、輪郭のしっかりした音が出ている。
また基本は1ボリューム1トーンだが、真ん中のツマミはバランサーになっていて、プレシジョンベース型のフロントピックアップの信号とジャズベース型のリアピックアップの音をミキサーのように合成してサウンドを作ることができる。真ん中にラチェットがあり、そこでいったん回転が止まる設計になっている。そのときがフロントとリアの音が50:50で均等にミックスされている状態なのだろう。
スラップなどにも使える弦の間隔だが、フロントピックアップを多めにしてトーンを絞ると、普通にジャズにも使えそうな丸く穏やかな音質になった。
従来のBacchus BJBと並べてみる。意外にもそれほどサイズが違うわけでない。ベースの標準サイズ864mmがMB-40では820mmになっている。この4cmの差がどれほど状態を変えるのかは不明だが、MBの方が弾きやすく感じる。
<追記>
ライブでベースソロをやらせてもらう機会が何度かありましたが、後半の盛り上がりでハイフレットを使う時は、やはり取り回しやすいミディアムスケールで24フレット=2オクターブあるMB-40は使いやすいです。できれば、MB-40でフレットレスがあると嬉しいのですが。
まああまり大きくない自分の手のサイズとコンパクトなボディによる弾きやすさと持ちやすさ、そういう意味でMB-40が余計弾きやすく感じたのかもしれない。またヘッドが小さいので、フルサイズのFenderベースのように自分の肩を支点としたヤジロベーのように、ヘッドの方にずるずる下がっていくということもなく、取り回しの良さはこの上なく素晴らしい。
ちなみに通常のロングスケールネックであるBJB-300と比べた図が上。MBの方がコンパクトではあるが、実は驚くほどサイズが異なるわけでもない。
それでも六角レンチでブリッジの位置を低め、さらにネジ回しで弦と表面カバーの一部がピックアップに当たっていたので、次にプラスドライバーでピックアップの位置を低くした。これでばっちり弾きやすくなった。
ということで、ジャズベースもまだ使うつもりだが、今後はMB-40でにわかジャズベーシストの旅を楽しんでいきたい。
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