2018年1月31日水曜日

ずっと聴きたかった松下誠「First Light」がAmazon Music Unlimitedにあった

80年代前半、オイルショックも乗り越え、日本経済がもしかしてこの先半永久的に栄えるのではないかと思われていた時代、それまで裏方だったスタジオミュージシャンたちがレコード会社の潤沢な予算を消化するかのように、というのは嘘で、それぞれのミュージシャンのやりたい音楽や素晴らしいパフォーマンスを前面に出し、それでいて心地よい極上の楽曲で、まさにニッポンのミュージシャンの底力を見せつけるかのように、次々とアルバムを出しました。

ロック、フュージョン、そして落ち着いた大人のロック(AOR)。彼らは遊び感覚で何か作ったのかもしれませんが、心地よい16ビートのサウンド、スラップで飛び跳ねるベースライン、要所を決めるキレキレのギターのカッティング、ジャズっぽいテンションコードを薄く鳴らすエレピやストリングス、そして軽く歪ませ、コーラスやリバーブで奥行きを出して美しいメロディからワイルドなサウンドを出すギターソロetc.

とにかく、とんでもなく格好いい音だったのです。

そんなバブリーな一流ミュージシャンが作るサウンドでも、オトナの都会の夜を思わせる雰囲気と疲れずに心地よく聴けるのに、よく聴くと実はかなり凄いことをやっているのが、ギタリスト松下誠のファーストアルバム「First Light」でした。


知る人ぞ知る職人ギタリストのファーストアルバムということで、当時ギターマガジンやサウンド&レコーディングマガジンなど、音楽専門誌でずいぶん取り上げられていたような記憶があります。

その後、このアルバムはCD化されたのですがロットが少なかったようで、入手しそびれてしまいました。断片的に入手できるサウンドなどで曲を聴いていましたが、通しで聴きたいものだとずっと思っていました。

今回、Amazon Music Unlimitedに入っていないか探したところ、何としっかりと入っていました。勢いで加入したこのサービスですが、これが聴けるなら月額980円は全然OKだよ、と思いました。



各パートを、当時のスタジオシーンでも売れっ子な豪華メンバーで固められています。また要所に美しいコーラスが入りますが、これは松下さん本人の多重コーラスで必聴のコーラスアレンジです。

また当時、Steely Dan(スティーリー・ダン)というスーパーバンドが解散してその中核メンバーであったDonald Fagen(ドナルド・フェイゲン)が「The Nightfly」という人類史に残るような名盤を出したばかりでした。

一流ミュージシャンが憧れるスーパーミュージシャンということで、この頃出された一流ミュージシャンのアルバムでは随所にこのアルバムのアレンジやコード進行からパクったと思われるアレンジやフレーズが出て来ます。

井上鑑先生のアルバム「預言者の夢」の最初の曲のイントロでは、いきなりSteely Danの名曲「Josie」のイントロの影響受けまくりと思われるサウンドが聴こえてきますし、巨匠・山下達郎先生に至っては「Nightfly」という曲を作っています。

「First Light」でも何箇所か疑わしい音が出てきますが、特に5曲めの「Lazy Night」では何となくSteely Danの「Glamour Profession」を思わせるイントロ、そしてずばり時期的にはほぼ同じはずなのですが、図らずもDonald Fagenの「Nightfly」と対抗するような夜をテーマにしたお洒落な曲調。本家にも負けない見事な料理という感じで、思わずニヤリとしてしまいます。

AB'sの解散後は細々と音楽活動されていたようですが、ぜひギターだけでなくボーカルとしても素晴らしいサウンドを聴かせてもらえればと思います。

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