というのも、手持ちのIbanez AF-75も善戦はしているのだが、やはり音はイマイチ鳴らないのと、安い中華ギターの特徴でフレット脇の仕上げが粗いので、バリというほどではないものの、ポジションを早く変えると金属のザラザラした粗い面が手に当たる触感もやや気になるところであった。
俺の他のジャパンビンテージなどはその辺の仕上げは丁寧なので、余計AF-75の粗さが目立った。とりあえずそこそこ可愛い女の子だと思って付き合ったけど、ちょっとガサツであまり気が利かないので何だかイヤになってきた、みたいなところであろうか。
価格帯としては6~7万円くらいのIbanezかEpiphoneあたりがいいと思ったが、欲をいえば10万円ちょいくらいの、新興メーカーのものがいいかとも思った。上手くないのに高いのは勿体無いという気分と、もう30年ギターを弾いているのだから、まあそこそこのモノを持ってもいいのではないかという気分が、いつも拮抗している。
新古並の中古AR-175CEをゲット
ある日、楽天とヤフオクで実売12万円程度のEastman AR-175が6万円で出ているのを見つけた。色はアンティーク・レッド。自分は基本ブラウンサンバーストが好きなのだが、ネットであれこれ画像を検索していて、Jim Hallおじさんみたいなアンティークな赤もいいなと思った。ところが、数日悩んで、でも6万円で中華ギターの最高峰として評判のいいEastmanが買えるならいいと思い、心を決めて、しかもセコい俺としてはポイントの付く楽天で買おうと思ってサイトに行った。
ところが残念なことに、俺と同じタイミングで決心した人がいたようで、サイトにはそのEastmanはなくなっていた。あのギターとはご縁がなかったのかと諦めていた。
そうこうすると、たまたまふらりと入った三鷹のHARDOFFで97,000円で同じEastmanのAR-403が売られていた。そのときは妻子がいたので派手な活動は自粛せざるを得なかったが、その次の休みのタイミングで買おうかと思っていた。
と思ったが、何げに日課である「フルアコ」のキーワードでヤフオクを見ていたところ、何と6万円弱で中古のAR-175がアップされていた。一度は諦めていたのに、これもまたご縁がと思って、AR-403とどちらがいいか半日ほど悩んだが、ややオリジナル(ダキスト系のシルエットだが)っぽい403よりオーソドックスなGibson ES-175系のこちらのデザインの方が飽きが来ないだろうと、また値段も3万円以上違うのにも目が眩み、「落札する」ボタンを押してしまった。
売主の方はすぐに対応してくれて、2日後、ライフル銃が入りそうな大きなハードケースがうちに届けられた。
大きくてブライトな生音
ギターは新品同様のいい状態であった。しかも出品者の方を評価して評価履歴を見ると、何と俺が半月前に狙っていたAR-175を落札した履歴があった。何だ、あのAR-175が結局オレのところに来たのか、と御縁を感じた瞬間であった。さっそくハードケースから取り出し、緩めてあった弦を巻く。親指ピッキングで鳴らすと昔もっていたフォークギターも顔負けの豊かで大きな音が出た。
アンプにつながず、まずはDm9-G7-Cmaj7とかAm7-D7-Gmaj7とII-V-Iで弾いてみる。これだと言いたくなるジャズの音が出てきた。
固いメイプル合板のせいか、生音はけっこう大きい。ソリッドギターに慣れた人なら驚くレベル。というか、普通の中央に丸い穴のあるクラシックギター(下図右)と遜色ない。
次に、iPhoneの安い無理やりヘッドフォン端子につなぐオーディオインタフェースを使い、ヴァーチャルアンプであまりゲインを上げずにクリーントーンで弾いてみる。トーンを1とか0にしても、意外にブライトな音がする。木の鳴りの音量は十分に伝わってくる。
また仕上げも滑らかで、弾いていてポジション移動しても安い中華ギター独特の引っ掛かる感じは全くない。何だか自分の腕が上達したような錯覚さえ覚える。
次にアンプ(Fender Sidekick Reverb 15W)につないでみる。
音はやはり明るい、というか若干トレブリーなくらい。
それをベースに、ややイコライザーの高音(Treble)を絞って中音(Middle)を少し前に出し、本体のトーンを0から2くらいに絞ると、ジャジーな音になってきた。
本物のオールドGibson ES-175を弾いたことがないのでどのくらい違うかは分からないが、フルアコのウォームでファットな音は得られるし、単に175コピーという側面だけでなく、中身は現代のジャズシーンに対応できる独自のフルアコースティックのエレキギターと言ってもいいだろうと感じた。
まだあまり弾き込んでいないので何ともいえないが、プロでも使えるレベルのギターではないか。
最近再評価して気に入っているYAMAHA SA-700のセミアコ、Seventeen Seven Exrubato、そしてこいつの3本で人生後半戦は持ち切れるのではないか。特に親指ピッキングでジャズをやるなら、これで決まりだと思っている。
<2018年4月追記>
これはこれで週に何度かのペースで弾いているのですが、これまた伝統的なフルアコースティックギターという、Ibanezの限定モデルや安物のテレキャスターシンライン (いちおうセミアコ?)をゲットし、こちらを使う頻度はちょっと減っている昨今です。
・本格的なフルアコ、Ibanez ARTSTAR SF301 VNをゲット
・中華シンライン・テレキャスターSX KTL-300を試す
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