思えば、4トラックカセットレコーダーの時代に、当時10万円以上するFOSTEXのレコーダーを愛用してせこせこ曲を書いていました。
その後、8トラックが出て、ついにはパソコンでMIDIシーケンサが出たり、デジタル化されて8トラックは当たり前、ついには16や24、さらに(自分も1つ持っていますが)今のパソコンのDAWでは、メモリとディスクが許す限りトラック無制限とか、もはや無差別テロとしか言いようのない、テクノロジーの進歩です。
ある日、川崎駅前に先輩のバンドの練習に行く直前、途中の巨大ブックオフにより、ジャンクコーナーを漁っていると、かつての名器というか元祖デジタルレコーダーの草分け、Roland VS-880のジャンク品が980円で売られていました。
値札の上には「電源は入りました」のメモ書きが。おそらくディスクが逝かれて使えなくなったのだろうと考え、急いでGoogle先生で見てみると、普通の 2.5インチIDEで使えるようです。
2.5インチなら家に山ほどあるので、これはけっこう遊べるのではないかと思い、レジにダッシュで持っていきました。
別に急がなくても20年前のレコーダー、私以外に買う人はなかなかいないと思いますが。
しかも冷静に考えるとZOOMの24トラックレコーダーも持っていたのでした。この非合理さがデジタル道楽の真髄だと、自分に言い聞かせます。
電源は入って正常に動いているようだ
まずは電源を入れてみます。
ヒューっと音がしてLEDが点灯しました。
ver 2.02なんで、機能拡張された最新ソフトのようです。
表示パネルでSCSIやらIDE(いずれもHDDや記憶装置の接続方式ですが、最近はあまり使われていません)をスキャンしています。
もしかしてSCSIなんて今や知らない人の方が多そうですが(涙)。
結局IDEで「???」と出たまま止まってしまいました。
基本的にIDE方式のハードディスクが入っているはずなのですが・・・。
ディスクがヒュー、ヒューと変な怪音を出しているので、おそらく死んでいるのでしょう。
コンパクトフラッシュが動かないので20GB HDDを取り付ける
ディスクの換装をすることにして、パーツを入れてあるケースをひっくり返します。
何と4GBのコンパクトフラッシュカード(CF)と、CFを2.5インチIDEに変換するアダプターが出てきました。
おそらく昔のFAT16フォーマットでVS-880は最大4GBでしょうから、ちょうどいいと思ってこれを取り付けてみました。
残念ながら、こちらも「???」マークが出て認識されません。
CFカードが悪いのか、インタフェースカードが悪いのか分かりませんが・・・。
諦めて、今度は昔ThinkPad X21で使っていた20GBハードディスクを付けます。
今度は、認識され、「フォーマットするか?」と確認してきました。
パネルから「Yes」としてディスクをフォーマットしました。さよならWindows XP。
録音してみる
裏のパネルにiPhone用のステレオミニジャックからRCAピンに変換するケーブルを繋ぎます。
またモニター用にヘッドフォンをつなぎます。
ヘッドフォン端子は標準サイズなので、ミニサイズから標準に変換する変換プラグを付けます。
まずはiReal Proというジャズ練習用アプリを使って、ガイドとなる原曲をトラック7と8に録音します。
今回は好きなジャズスタンダード「Stella by starlight(星影のステラ)」にしました。
ミキサーの7と8のセレクターを何度か押して(押すと切り替わる)、録音モードにしました。
ミキサーにはLEDがあり、無色で接続しない、黄色でミキサー、緑で再生、赤で録音になります。
1曲分、録音しました。
多重録音する
トラック7と8にiPhoneアプリによる模範演奏が入りました。
ミキサーの7と8をセレクターで再生モード(緑)にして、今度はチャンネル1にエレキギターをつなぎました。
本当はプリアンプ付きのダイレクトボックスを噛ませると、音圧が出ていいのですが、今日はテストということで。
ミキサーの入力1のゲインを微調整して、時々レベルがプラスになるくらいのレベル感で、音量を調節します。
何も操作しないと、入力1はミキサーのチャンネル1につながっています。
ということで、チャンネル1を録音モード(赤)に切り替えて、トラック7&8のガイド演奏を聴きながらギターを録音しました。
多重録音なら、1つはリズムギターでコードを刻み、もう1つでソロですが、ジャズという想定なので、コードを時々混ぜつつ、メロディを弾いていきます。
次にベースを3チャンネルにつなぎ、同じように録音しました。
さて、7&8チャンネルはフェーダーを0にしてガイド演奏は消して、自分のギターとベースだけ再生してみます。
録音している時の気分はジム・ホールとロン・カーターだったのですが、出てきた音は全くまとまりのない2つのスケール練習でした。
コード構成音だけは注意していたので、不協和音にはなっていませんが、互いに聴きながら練習しないと、アンサンブルにはならないことがよく理解できました(涙)。
エフェクトカードがあるので、リバーブを掛けてみる
VS-880は裏にインタフェーススロットがあり、エフェクターカードVS8F-1というオプションを挿すと、マルチエフェクトが使えるようになります。
もしやと思って、裏を開けてみると、しっかりカードが入っていました。
これでリバーブとかコーラスを掛けられるので、外部エフェクト機器は不要で、デジタルミキサーとしても完璧です!
普通、低音は残響させないので、ギターの再生チャネルのエフェクトをONにしてリバーブにします。
信号の一部を少しリバーブに流すようにして、ギターがホールで演奏しているような響きになりました。
まあ手持ちのZOOM R24だと中にドラムマシンの機能は入っているし、エフェクトも豊富で全然比較にはなりません。
でも、ディスクをSDカードに載せ替えたり、まだ若干残してあるMIDI機器をつないだりして、千円から3千円くらいで売られている、中古のレコーダーを再生して遊ぶというのは、意外にいけます。
当時の製品の設計思想の良さを感じる瞬間でもありました。
性能や使いやすさという意味では、ZOOM R24をもっと使っていくべきなんでしょうけど。